はじめての簿記(第2回)

第1回で、簿記の目的は、決算書(損益計算書貸借対照表)を作ることだと学んだ。

 

今回から、損益計算書貸借対照表とは具体的にどういうものなのかを理解しよう。

まずは損益計算書(P/L)からです。

 

損益計算書は文字通り、「損」と「益」を「計算」した「書」類です。つまり、会社が(個人事業主でもよい)どれくらい損または益を出したが、ありていに言えば、どれくらい儲かったか(利益)を示す書類だ。

 

利益がどのように算出されるかは、さすがに誰でも分かるだろう。

そう、「(収益)-(費用)=(利益)」だ。

 

ここで、収益という言葉はあまり一般的ではないと思うので適当に簡単に説明しておくと、売上高という意味と理解すればよい。

「益」という漢字が含まれているので費用を除いたあとの利益のことを意味しているのかな?という気がするが、そうではなく反対に、費用を除くまえの、純粋に売り上げた金額を意味するので注意。

 

上記の計算式を図解すると、つぎのようになる。

 

損益計算書の図解

右側に収益をおき、左側に費用をおくと、その残りスペースが利益ということになる。なお、費用のほうが収益より大きければ当然マイナスの利益、つまり損失ということになり、右側に残りスペースができることになる。

損失のとき

じっさいの取引を例に考えてみよう。

 

(例)

① 商品Aを100円で仕入れた。

② その商品Aを150円で売った。

 

①の取引で、100円の費用が発生した。したがって、図の「費用」に100円が発生する。数字だけ書いていてもなんの100円なのか分からないので、「商品Aの仕入れ 100円」と書いておく。

 

②の取引で、150円の収益が発生した。したがって、図の「収益」に150円が発生する。こちらもなんの150円なのか分かるように、「商品Aの売上げ 150円」と書いておく。

 

①と②の取引の結果、150円の収益と100円の費用が発生したので、利益が50円発生した。したがって、図の「利益」に50円が発生する。これも、分かるように「商品Aを仕入れて売った結果生じた利益 50円」と書いておく。

 

この結果、図はこのようになる(当たり前だが)。

取引の内容を反映した損益計算書

会社は(個人事業主も)、ふつう1年ごとにちゃんとした損益計算書(や貸借対照表)を作る。たとえば1月1日~12月31日という1年の区切り方をするならば、12月31日が終わる時点での損益計算書(や貸借対照表)を作る。

この場合、12月31日が終わる時点を迎えることを「決算期が到来する」などという言い方をする。

 

さきほどの①と②の取引のみが発生し、決算期が到来したとしよう。

損益計算書は、上の図で完成である。

 

よく見る形としては、

 

売上げ 150円

費用  100円

========

利益   50円

 

みたいなかんじかもしれないが、それは形式の問題であって、どっちでもよい。

 

損益計算書とは、これだけのことである。シンプルだ。

 

売上げ150円、費用100円、利益50円。

 

目には見えないし、触れない。しかし、このようにまるで実在するかのように(実在していないというつもりはないが。まあ言葉のあやということで)損益計算書は作成される。

 

ドラッカーも、「利益は幻想である」と言っている。(意味はちょっと違うかもしれないが。本を読んでいないので分からない。)

 

損益計算書は、概念(フィクション)を示すのである。

 

次回は、現物(リアル)を担当する、貸借対照表をやっていきましょう。

 

お読みいただきありがとうございました。