何年か前、ある社会人サークルの立食パーティーに参加した。
わたしはあまり社交的なほうではなく、立食パーティー的な場所で会話の輪に入るのが苦手なので、わりとすぐぼっち状態になる。
ぼっち状態で立ち止まると、ぼっち状態になっていることが一目瞭然なので、食事を見て回っているふりをして歩き続けることで、一時的にぼっち状態になっているに過ぎないのだという雰囲気を醸し出す必要がある。
その日も、そんなふうにテーブルを100周くらいしたとき、たまたまわたしと同じようにぼっち状態になっている女性がいたので、話しかけてみた(なお、その女性は立ち止まっていたので、ぼっち状態であることが分かったのだ)。
どういう話の流れだったか忘れたが、その女性の行きつけのカフェの話になった。こんなドリンクがおすすめで~とか楽しく会話していた。
わたしは、「そのカフェはどのへんにあるんですか」と聞いた。
女性「〇〇駅から、ダッシュで3分です」
なんでダッシュで言うんだろう、と思った。
わたしはこの女性のダッシュ力を知らないし、そもそも3分もダッシュしたことがないので、ぜんぜん距離感が分からなかった。
わたしは、「なんでダッシュで言ったんですか」と聞いた。
女性は、「わたしいつもギリギリまで寝てるんで、いつもダッシュなんですよ。だからです」と答えた。
いちおう理由が示されたが、「だから」という接続語の用例として正しいのかは分からなかった。
あとから調べてみると、徒歩9分となっていたので、そこをダッシュ3分というのは、あの女性はけっこう正確な回答をしてくれていたようだ。